インプラント
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インプラントとは
歯を抜いた際に、その失った部分を補うための治療法のひとつです。現在、インプラント治療ではまず、100%に近い 純チタンでできた人工歯根(インプラント体)を歯のなくなった部分の骨に埋め込み、抜いてしまった歯の根の代わりを作ります。
その上に差し歯の要領で歯を作ってゆきます。
もう一度ご自分の歯を作るようなものですから、咬み心地はほぼご自分の歯と同じです。人間の歯には、毎日とても大きな力が加えられています。
お食事のとき、運動をする時など、日常生活の中で歯は身体を安定させ、維持するためにたくさんの役割を果たしているのです。
何らかの原因で歯を抜くことになってしまった場合、インプラント治療が確立する最近まで、それらの大きな力を支える代替は、残っている他の歯に頼るしか方法がありませんでした。
しかし、それだけの力を他の歯で補うのは、リスクも多く、最終的にはその他の歯も失うという結果になってしまった、という経験を持っている方も多くいることでしょう。
インプラント治療は、歯を失った部分のみを治療する方法ですから他の歯に侵襲を加えることはありません。
そして、しっかりと固定された、硬いものも咬むことのできる歯を回復することができるのがインプラント治療です。
インプラントのメリット・デメリット
メリット1:自分の歯と同じように食べることができる
インプラントは入れ歯と違い、骨にしっかりと固定されていますので、天然歯とほとんど変わらない感覚を再現することが可能です。
力をかけて硬い食べ物もしっかりと咬むことができます。噛みしめることで出てくるお食事の美味しい味を損なうことはありません。
また、お食事のときに食べ物が入れ歯の下に入り込んで痛い、嫌なにおいがする、などの悩みもありません。
メリット2:歯を気にすることなく笑ったり、話したりすることができる
入れ歯のように、他の歯にかけた金属が見えることもありませんし、取り外して清掃する必要もありません。
お食事中、おしゃべりを楽しんでいる最中にも、外れることや、歯が見えることを気にする必要がなくなり、思い切り楽しむことができます。
メリット3:歯を失った部分のみを治療でき、他の歯に負担をかけない
これまで失った歯を補うためには、周囲の歯がその負担を担う方法しかありませんでした。
基本的にインプラントは、歯を失った部分のみを治療する方法なので、他の歯を削ったり、過剰な負担をかける必要はありません。義歯やブリッジに比べ、インプラントは残っている歯に依存することがないので全体の寿命をのばすことができます。
メリット4:歯を失った部分の骨がやせない
歯を失った後、歯の根を支えていた骨は力の伝達がなくなるためその役割を失い、ある程度の細さになるまで自然に吸収し、やせていきます。ブリッジにした場合にもダミーの歯の下の骨はやせていきますので、次第に食べ物が詰まる、舌触りが悪くなるなどの症状が出てくる可能性があります。
インプラントならば、咬む力をしっかりと骨に伝えてくれますので時間が経っても骨はやせません。
デメリット
・歯を抜くのと同じ程度の手術が必要です。
・保険が適用されず、自由診療となるため費用がかります。
・お口の衛生状態の悪い方、骨の量や密度が十分でない方、心臓病・糖尿病などの全身疾患のある方、妊娠中の方は治療が制限される場合があります。
・維持するためには十分な口腔衛生の管理と定期的な検診が必要です。
・上顎で7~8ヶ月、下顎で3~5ヶ月という比較的長期間の治療期間が必要となります。
インプラントとブリッジと入れ歯の違い
歯の欠損治療には、インプラント以外にも様々な方法があります。
それぞれのメリット・デメリットを比較したうえで、ご自分に合った方法をお選びください。
インプラント | ブリッジ | 入れ歯 | 総入れ歯 | |
---|---|---|---|---|
対応方法と イメージ |
歯の根の代わりになるチタンの棒を骨に埋め込み、その上に歯をかぶせていく方法。 |
失った歯の両側の歯を削り、冠を橋渡しすることによって失った歯を補う方法。 |
失った歯の周囲の歯に金属の留め金をつけて、取り外しの人工の歯を留める方法。 |
取り外しの人工の歯を顎の上に載せる方法。 |
対応本数 |
1本から、すべての歯を失った場合 |
数本失った場合 |
数本失った場合 |
全部の歯を失った場合 |
周囲の歯や 顎の影響 |
・歯を失った部分のみの治療で、周囲の歯に負担をかけない。 |
・周囲の健康な歯を削る必要がある。 |
・周囲の歯に留め金をかけるため、大きな負担が健康な歯にかかる。 |
・顎の骨がやせる。 |
審美 |
・ご自分の歯に近い見た目。 |
・保険適用外の材料を選択すれば、ご自分の歯に近い見た目。 |
・留め金が見える部分もある。 |
・顎の骨がやせてくると、口元にしわがよりやすい。 |
清掃 |
・ご自分の歯と同様に歯ブラシ、スーパーフロス、歯間ブラシなどで清掃。 |
・ご自分の歯と同様に歯ブラシし、歯の無い所はスーパーフロス、歯間ブラシなどで清掃。 |
・はずして義歯の洗浄をする。支える歯も清掃。 |
・はずして義歯の洗浄をする。 |
治療期間 |
顎の状態によって異なるが、4ヶ月から1年くらい。その後も噛み合わせのチェックなどは必要。 |
周囲の歯の状態によるが2週間~2ヶ月前後で装着。その後も調整必要。 |
周囲の歯の状態によるが2週間~2ヶ月前後で装着。その後も調整必要 |
1~2ヶ月前後で作製装着。その後も調整必要。 |
欠点 |
・簡単な手術が必要である。 |
・清掃性が悪くなり、支えている歯が歯周病や虫歯になる可能性がある。 |
・清掃性が悪くなり、支えている歯が歯周病や虫歯になる可能性がある。 |
・異物感がある。 |
インプラントの治療手順
診査治療計画
お口の中の診査とレントゲン写真を撮影して大まかな治療計画をたてます。口腔内写真と歯型を採取し、必要に応じて血液検査やCT撮影(必須)を行います。CT撮影を元にインプラントを埋め込むために必要な骨の質と量の診査を行うその際、埋め込むインプラントのサイズや本数などを決定する。
歯がなくなった部分の顎の骨の中にインプラントを埋め込み、歯肉を閉じます。
人工歯根が顎の骨と結合するまで治癒期間(1〜6ヶ月)を置きます。この期間は骨の質になどにより個人差があります。
インプラントが骨と結合したらインプラントを歯肉から露出させ、インプラント周囲の歯肉の形を整えるため、アバットメントと呼ばれる人工歯を被せるための土台を取り付けます。
仮歯(プロビジョナルレストレーション)を装着し経過観察します。
アパットメント(インプラント用の土台)を装着し、人工歯を立ち上げます。
インプラントは虫歯にはなりませんが、ケアを怠っていたりそのまま放置したりすると歯周病(インプラント周囲炎)などで傷んでしまいます。インプラントを長持ちさせるためには、食後のブラッシングや定期検診はとても重要です。特に異常がなくても、3ヶ月から4ヶ月に一度は定期検診を受けるようにしましょう。